1997~1998年度 R.I.第2620地区 INTERCITY MEETING

1997~1998年度 R.I.第2620地区 INTERCITY MEETING テーマ「明るい長寿社会をめざして」

  • 日時:1998年3月1日(日)
  • 会場:御殿場高原ホテル・ブケ東海
  • ホスト:御殿場ロータリークラブ

1997~98年度国際ロータリー第2620地区静岡第二分区のIMが、御殿場クラブのホストで開催されました。IMの基本方針は、「勉強会を主体に、相互の親睦を図ろう」を念頭に、分区内のすべてのロータリアンが参加できるような催しを企画しました。テーマも我が国の驚異的なスピードで高齢化が進み、総人口に対して65歳以上の人の比率が1970年に7.1%、1995年には14%を超える高齢社会に突入し2010年には22%に迫るだろうと予想されております。実に25年で高齢化社会から高齢社会に移行したわけです。このことは必然的に高齢者問題を生みだし、その深刻さは既に家庭内だけでなく、社会問題化しております。

1997年12月には公的介護保険法案が成立し、国民の関心も高まりつつありますが、実は65歳以上の93%の方はいまお元気に生活されており、我々ロータリアンも元気にロータリーライフを過ごしています。この様な中にあって、ロータリー会員自身が明るい長寿社会をめざすにはどうすればよいかを今回のテーマにしたわけであります。

『基調講演』は、福祉の分野では第一人者でありますNHK解説委員 村田幸子さんにお願いしました。続いて『パネルフォーラム』は同じテーマで5人のパネラーと村田解説員のアドバイザーでおこなわれました。フラメンコダンサーによる情熱的な踊りを最後に『懇親会』が終了しました。

『基調講演』より:NHK解説委員 村田 幸子様

「明るい長寿社会は 社会参加を生きがいに」

これまでの日本社会の実態は、自助努力をしてもなお、眼にハンディを持つ人に「頑張ってね」とガンバリズムを強要したり、「いい年してみっともない」と外聞を気にして高齢者の社会参加にブレーキがかかっていた。また、長いサラリーマン生活を送ったひとに地域社会に溶け込めなくなるほどただ長い間、日々を重ねるだけの人生だったり、さらに、「私が子や孫にあれこれ言って迷惑かけるより、私が我慢さえすれば波風立たない」と、とりわけ明治、大正時代生まれの人には我慢して通す人が多かったように思う。

しかし、これから社会福祉の環境整備が進めばハンディを持っていてもハンディのない人と対等に暮らせる。しかも多様な価値観を持った昭和生まれの高齢者時代に入るのです。今、日本社会に占める高齢者の人口構成をみると、2012年に65歳以上は22%に、2050年には32.3%にも達する推定されている。昭和生まれのような権利意識の強い人が大多数を占めてくると、高齢者に何かしてあげるだけでは駄目で、高齢者の経験や力をどのように地域で生かすかを考えないと高齢化社会は支えきれない、と思う。

一般に高齢者には生きがいが大切ともうします。ところでこの生きがいとはいったい何でしょうかー。

山口県東和町沖家室(おきかむろ)地区の人から私が学んだことは、”いる甲斐がある”と一人ひとりが実感できることではないだろうかと思う。つまりその人が家庭や地域社会で掛け替えのない存在であると実感できることです。

お年寄りを弱者として特別枠に入れてしまって保護するんじゃなくて沖家室に溶け込んで最後まで生きていられること。こういうことを一人ひとりが感じとられ、ひては、”いる甲斐があることと”ーこれが生きがいであると思う。そういう生きがいがあるから肉体的にも元気でいられるから何かしようという意欲も生まれる。何かを実行に移せば人に喜ばれて、なお一層掛け替えのない存在となる。足、腰の健康を肉体の健康とすれば、生きがいや”いる甲斐”は心の健康と言うことができます。

その生きがいに3つある。1つは俳句、お茶、旅行など趣味によるもの。2つに家族や友人のために何かをして夫や子どもが喜ぶ。3っつ目に東和町のようにお年寄りが地域の人のために自分の力を役立てて、ここに喜びを感じる。

我が国には独特のお年寄りの見方があります。この日本型高齢者観を変革することも大切です。どう変えるかー。私は保護していたわるのではなく、生かすことが大切だと思う

私の実感では人生は90年代です。どうでしょう皆さん、80歳になっても80歳と思えないのではないでしょうか。皆さん8掛けか7掛けぐらいお元気です。ですから80歳の人は8×8で64歳というわけです。

高齢者自身は、「いけない」というわけではありませんけど、もうゲートボールや囲碁、将棋だけの人生ではあまりにも人生が長すぎないでしょうか。以上の事から生きがいがあるかどうかは大きく社会とのかかわりにかかわっていることがわかります。

足腰が弱くなってもその人が、その人のやることがあり、社会とのかかわりが保てていれば、車椅子だろうが、麻痺が少し残っていようがその人は健康な人だというわけです。

WHO(世界保健機構)は健康を次の様に定義しています。健康とは肉体的にも精神的にも、社会的にも調和のとれた状態にあること。

高齢者がいかに社会とかかわりが持てるか、張りのある毎日を持てるか、そういう支援をしていくのが次の世代だと思います。そういう受け皿を作り支援をしていく、そしてできるだけ介護を必要とする状態にならにように、最後まで現役でエネルギーレベル高く、がくっといけるような人生を選択できるようにすることは、日本の医療費削減にも繋がりますし、財政面にも大変貢献すると思います。

つまり健康であるということは、予防福祉につながっていくわけです。そういう面からも非常に健康である、肉体的、精神的、社会的に調和のとれた健康を一人ひとりが持ちたいと思います。